膝関節骨壊死症

「膝が痛い」という場合、多くは変形性膝関節症が多いのですが、今回は膝関節の骨が壊死するという病気のお話です。

 

膝関節骨壊死とは?

立つ、座る、歩くという日常動作で駆使せざるを得ない膝。加齢と共に軟骨がすり減って痛みを伴う変形性膝関節症はよく知られていますが、MRIで撮影しても初期段階では容易に判別できない「膝関節骨壊死症」という病気があります。
「えっ!骨が壊死する?」と驚きますが、骨の中の細い血管が詰るとその先に養分が届かず壊死すると考えられているものです。ちょうど脳の血管が詰って脳梗塞を起こす、心臓の場合は心筋梗塞が起こるのと同じようなものと考えられています。原因は現時点で医学的には明らかになっていません。

ステロイドホルモン投与後、血液中のコレステロールが異常増加した状態では発症率が高く、膠原病、アルコール中毒、慢性腎不全などが原因と考えられますが、大半は原因不明で中高年の太りぎみの女性に多いようです。

 

糖尿病と膝関節骨壊死

77歳の女性が膝の痛みを訴えて車椅子で来院。レントゲン写真及びMRIに映し出された膝関節は、本来カーブを描いている筈の内側の骨が明らかに直線(フラット)になり、おまけに砕けた骨の破片が周囲に散らばっている状態です。聞くと2ヶ月前の1月、急に強い痛みが走り(壊死した骨がグシャッと壊れた瞬間?)、そのまま我慢していたとか…。というのもこの方は糖尿病と高血圧で内科クリニックで治療中だったのです。
私は膝の症状から手術しか方法がないと所見しましたが、糖尿の指標であるヘモグロビンA1cが9.9ではびっくり(正常値4.3~5.8不良例でも6.5前後でコントロールする)。手術するにも糖尿をコントロールせねばならず、当初は保存的治療(手術をしない方法)を続けました。
前述の内科クリニックから「糖尿病のコントロールをよろしく」との依頼を受けて私はまず糖尿の数値を安定させることを優先、内服治療にてへモグロビンンA1cも6.5くらいになったため、初診から2ヶ月後に手術となりました。

 

手術は人工関節

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手術は先ず膝関節内の壊れた骨、砕けて辺りに飛び散った骨の破片を取り除き、人工関節を入れる手術です。
手術そのものの難易度はそれ程高くないのですが、むしろ怖いのは感染症です。万一どこかに感染すれば人工関節は摘出せねばならず、整形外科医は糖尿病のコントロール不良例ではできる限り人工関節の手術をさける方法をとります。
今回の患者さんは手術も成功、2週間の入院を経て、杖で歩行してリハビリテーションのため通院されました。

膝が痛いと「トシだから。軟骨がすり減ってるから仕方ない」と考えがちですが、自己診断をせず、早めに専門医の診察をうけましょう。どんな病気が潜んでいるか解らないですからね。