加齢と共に骨密度が粗くなる(骨がスカスカになる)骨粗鬆症。「トシだから仕方ない」と軽く考えがちですが、骨折はもちろん、脊柱管狭窄症を合併する場合もあるので油断禁物です。
今回はそんな一例を紹介しながら、予防についてのお話です。
繰り返す圧迫骨折
港区在住のOさんは82才の女性。骨粗鬆症で圧迫骨折を繰り返し、5年程前から当院で手術を受けておられます。
一度目(初施術)は第4腰椎(L4)圧迫骨折と下位腰部脊柱管狭窄症で、二度目は初施術から3年5ヶ月後に上位腰部脊柱管狭窄症に対し椎弓切除術と椎体間固定術を施行、三度目は初施術から4年4ヶ月後に第12胸椎(Th12)第1腰椎(L1)圧迫骨折及び胸腰部脊柱管狭窄症に対し椎弓切除術、椎体間固定術と椎体形成術(骨の強度を高める手術=これは液状の人工骨材を注入すると固まって人工骨となりもろくなった骨を補強するもので、ちょうどコンクリートを流しこんで固まるのと同じような状態を作る手術)を施行しました。初施術から4年10ヶ月後には第10胸椎(Th10)、第11胸椎(Th11)圧迫骨折が発生しましたが脊髄の圧迫症状がないため経過観察しました。
骨折の度に手術で固定されるのですが、固定箇所の上下にある骨が次々と壊れていく…まさに骨粗鬆症の恐ろしさと言えるでしょう。Oさんはその後、通院できるまでに回復してリハビリテーションにも通って下さいました。
女性に多い骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨の形成速度より吸収速度が高いことにより骨に小さな穴が多発し、骨がもろくなって変形、痛み、骨折の原因になります。全体の8割が女性で、ホルモンの分泌バランスが変化する更年期以降(閉経期以降)に急速に進行します。
予防方法は?
予防は食事、運動、日光浴。食事は偏食せずバランス良い食事を摂る事。牛乳や小魚などのカルシウムだけではなく、カルシウムを繋ぐものも必要なので、とにかく偏食しない事です。そして運動は歩く事を心掛けましょう。散歩は必然的に日光浴もできるので理想的です。年齢にもよりますが最低5000歩は歩きたいものです。大腿骨や股関節を骨折すると寝たきりになる可能性もあるのでしっかり予防を!
また病院で骨密度を計ってもらい、信号と同じく青は○、黄色は要注意、赤になると投薬が必要です。薬の服用は少しでも骨量増加が可能という点でお勧めです。
尚、当院ではホールボディ骨密度測定器(全身のどの箇所でも測定できる)が設置されました(写真5)。自分の骨密度を知り、早めの予防が肝要です。