女性に多い「変形性股関節症」

変形性股関節症とは

今回は「変形性股関節症」のお話。股関節、いわゆる脚の付け根の関節は2足歩行の人間にとって前後左右、上下屈伸と実に稼働の多い箇所で、球関節(ボールとソケットの関節)として知られ、大腿骨の丸い骨頭が骨盤に組み合わさってできています。軟骨や筋肉、腱に囲まれてスムーズな動きができるのです。変形性股関節症は女性に多く、原因は定かではありませんが、女性は出産可能な骨盤の形も一要因かもしれません。いずれにせよ股関節が変形すれば歩行困難となるから厄介です。
股関節の変形は主に老化によって軟骨が擦り減る事で起こりますが、変形性股関節症には原因が特によくわからない特発性と呼ばれるものと、その他に脱臼や骨折などの外傷後に発症したり、先天的に臼蓋形成不全が元々存在して発症する二次性の変形性股関節症があります。

 

手術で日常生活が可能に

今回、当院で手術された方は、わたし(院長)が以前に他病院に勤務していた時の患者さんです。病名は臼蓋形成不全という骨頭を覆っている被りが変形していく二次性変形性股関節症。患者さんは当時40歳代だったのでリハビリや薬物療法で治療を続けていました。痛いので動かない、周りの筋肉も硬直する、足の長さは左右異なるので補高(両足を同じ高さにする為)していました。
しかし初診から8年後、5メートル歩くのに2分程かかる状況になり、57才という年齢をふまえて遂に手術となりました。悪化した股関節を取り除いて人工関節で置き換えるという、いわばパーツを入れ替えるような手術で、術後は骨折等のように骨がくっつくまで体重がかけられないという事はなく、早期退院、早期社会復帰が可能です。この患者さんも現在は補高もなく、日常生活が可能になられました。
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人工関節の耐用年数は約20年

入れ替えた人工関節(金属製)は時間と共に摩耗し耐用年数は約20年。
したがって20年後に再手術という事は回避したい。だから、前述の患者さんには40歳代の時は手術せず、何とか先まで持たせる方法を採択させていただいたのです。
日常、私たちは無意識に歩いていますが「歩ける」ためには股関節が重要な役割を担っています。違和感や痛みを感じたら我慢せずに専門医に診てもらいましょう。人体の骨格は樹木の幹と同じですからね。